ひょうごSDGsプロジェクト無料公開講座「家庭でできる食のSDGs」が開かれた=3月10日、神戸新聞本社会議室

一般社団法人兵庫栄養振興会理事の深澤譲さん

報告
更新日: 投稿者: 神戸新聞社

食品ロス削減は買い物から 保存や調理の工夫で無駄省く

「家庭でできる食のSDGs」 一般社団法人兵庫栄養振興会理事 深澤譲さん

 食べられるのに捨てられる「食品ロス」は、世界で年間13億㌧に上る。一方、約8億人が栄養不足という統計がある。日本の食品ロス発生量(2020年度)は522万㌧で、家庭から出る量が半分近くを占める。国民1人あたり1日茶碗1杯分が廃棄されている。

 消費者庁の調べでは、食べられるのに捨てた理由の1位が「食べ残し」(57%)、2位が「傷んでいた」(23%)。必要な分だけ購入し、食べ切れる分だけ作るのが基本だが、今日からできる食品ロス対策を具体的に紹介したい。

 まずは買い物時。冷蔵庫などの食材をチェックしてから購入すれば、廃棄削減につながる。出かける前に庫内を撮影しておくのもいい。すぐ食べるなら販売期限の迫った商品を選ぶ「てまえどり」に協力しよう。地産地消を意識して食材を買えば、食料自給率を上げて、フードマイレージ(食料の輸送距離)を下げられる。

 キッチンでは適切な保存を心がけたい。野菜は乾燥しないよう、葉物野菜は濡らした新聞紙などで包み、冷蔵庫の野菜室で保存する。イモ類や、キュウリやタマネギなども切る前なら冷蔵庫に入れる必要はない。

 野菜の皮や芯は栄養価も高く、調理方法を工夫すれば使える。皮を分厚くむいたり、へたを大きく切り取したりする過剰除去にも気を付けたい。キャベツの芯はギョウザのたねやお好み焼き、レンコンの皮はきんぴら、ダイコンの葉は炒め物などに活用しよう。白ネギの青い部分も、青ネギとして十分使える。

 調理もエコに。例えば、パスタはゆで時間短縮のため、水を張ったフライパンに数時間漬け置く。野菜は麺と時間差で一緒にゆでる。湯を捨て、同じフライパンで炒め合わせて味付けすれば、消費エネルギーも洗い物も少なく出来上がる。肉じゃがの残りをカレーやコロッケに、おでんの残り汁をお浸しに、といったリメーク術も有効だ。生ごみはしっかり水を切って捨てることも忘れずに。

 食品ロスの理由の3位は「期限切れ」(11%)。賞味期限は安全とされる期間より2割以上短く設定されているので、消費期限は1・2倍を目安にするといい。100日と表示があれば、未開封の場合120日くらいは大丈夫だ。卵の賞味期限は生食できる期間で、期限を過ぎた場合、70度で1分以上加熱しよう。

 家庭で余っている食品を集めて、生活困窮者など必要な人に寄付する「フードドライブ」も活発化してきた。訳あり商品をお得に購入できるアプリもいろいろあり、手軽に食品ロス削減に貢献できる。

虹色の装飾